猫はブログを書かない

迷子猫探し55日間で向き合ったあれこれ。猫を飼うとは。気持ちと向き合うとは。

<迷子猫探し/No.6>ペット探しの「チームビルディング」(地元で協力をあおぐ/失踪から3日目以降)

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帰ってきてとても切なかったひとコマ。逃げていった時に外れた首輪をそのまま保管していて、戻ってきてからつけてみたらこんなにぶかぶかに...。結局てんちゃんは2ヶ月間、どこのエサやりさんにもお世話になっていなかったようで、潜伏していたエリアの地元の人も、最後まで「姿を見ない」という人が沢山いました(てんちゃんの性格を考えるととても「らしい」行動ではありました)。

 

*****

 

迷子猫探しは、迷子にしてしまった飼い主が責任を持って探すことが当然であり、とても大切だと思うのですが、残念ながら24時間全てのエリアを見回ることは不可能です。

 

なので、いかに地元住民の方に協力してもらい、わたくし達の目が行き届かない部分を補ってもらうかが勝負になります。

 

でもお恥ずかしいことにわたくしは、今まで迷子ネコのポスターに注意を払った経験がほとんどありませんでした。

 

たまに道ばたに貼ってあるのをみても、ぼんやり「探してるんだな」と思うくらいで、むしろ「そもそもなんで迷子にさせるんだよ、バカだなぁ、、、」と思ってそれで終わっていました。

 

なので今回、実際に目撃情報をあげてくれたり、一緒に捜索してくれたりする人が現れるのを見て、実は心の底からビックリしておりました。

 

とはいえ、そこに至るまでは決して簡単な道のりではありませんでした。

 

まず、チラシを配るにしても、結構色んなことを言われていちいち落ち込んでいました。

 

田舎の集落だったということもあってか、特に年配の方からは

 

「猫は逃げたら見つからないよ。無理だと思う」

 

と結構な頻度でいわれ、中には差し出したチラシを受け取ってくれない方もいて、そんな時は本当にもう2度とてんちゃんに会えないような気がして、涙がぽろぽろ出てきました。

 

また、決して悪気はないのでしょうが、

 

「うちの猫はしょっちゅうコドモを産むから、その度に捨てにいっている。なんならその1匹を今度やるから、それで諦めな

 

と言い出すお年寄りが何人もいて(1人じゃないんです、何人も、です...)、埋めようのない価値観の差に愕然とし、ただでさえ普通ではない精神状態に強烈なダメージを負ったりもしました。

 

単純に、

 

「見ないよ。この辺にはいない」

 

と、ケンモホロロにそっぽを向く人も少なくありませんでした(そういう人は、本当に「見ていない」というよりも、そう言うことでこの件に関わりたくないということをアピールしているケースが大半なので、こちらもあまり深く踏み込まないようにはしてました)。

 

結局、そういう辛さに耐えかねて、迷子猫探しから脱落してしまう飼い主の方は少なくないと聞きます。その気持ちは本当によくわかります。

 

でもわたくし達は、一番最初に絶対に諦めないと心に決めました。

 

なので、辛い目にあった時は、そんなこともあるさ、と、できるだけとっとと忘れるようにして、次の新しい人、次の新しい状況、と向かっていくようにしていました(もし今、これを読んでいる心折れそうな飼い主の方がいたら、一度ガーッと寝て、嫌なことは全部無理矢理にでも忘れちゃってください。大丈夫、諦めなければみなさんの猫は絶対に見つかりますから...!!!)。

 

ただ「辛さ」は、冷たい仕打ちを受けるだけではない部分にも潜んでいました。

 

当然ですが、お金で従業員を雇って仕事をしてもらうのとは訳が異なり、たとえ金銭が発生しなくても自発的に「協力したい」と思ってもらえないことにはどうにもなりません。

 

そのためには恥を忍んで、猫を迷子にさせてしまったこと、自分たちが何者で、どれだけ探している猫のことを大切に思っているのか、等を、心の底から訴えなくてはなりません。

 

ただでさえわたくし達は東京からきた素性の良くわからないヨソ者というハンディキャップを背負っていたので、まずは「決して怪しい者ではないんです」ということからはじめて、とにかくなりふり構わず必死に説明して回りました。

 

口だけで言っても意味がないと思ったので、夫婦2人で行ける時は2人で、それが無理でもわたくしかだんなのどちらかは必ず毎日、たとえ1時間だけだったとしても現場に通って、てんちゃんを探しました。

 

そうやって一生懸命やっていると、少しずつ手を貸してくれるありがたい方達が現れ始めました。

 

最終的には、決定的な目撃情報を寄せてくれたのも、一番最初にてんちゃんの生存確認をしてくれたのも、えさをおいててんちゃんを引き止めておいてくれたのも、全部地元の住民の方達でした。

 

 「肩を落としてとぼとぼ歩く姿はとてもじゃないけど見ていられなかった。だからなんとかしたいと思った」

 

と車をとめるスペースを提供してくれたり、車で行けない時は駅まで送ってくれたりしてもらえたこともあり、そんな時はそれまでの嫌なこと全部が吹き飛ぶような気持ちになりました。

 

 

そういうジェットコースターみたいな感情の高低差は本当に疲れますが、でも必死にやっていれば協力してくれる人は絶対に現れます。

 

そしてそういう人たちには、「終わったらいっぱい恩返しします!」と心の中で手を合わせて、どんどん甘えたらいいと思います。

 

そうじゃないと、このつらい迷子猫探しという一大プロジェクトはとてもじゃないけど乗り切れないと思います。

(続く

 

【今回のポイントのまとめは次の通り】

 

 

<誠実に思いを伝えて、一緒に探してもらう>

 

中盤でくじけそうになった時、同じように遠く離れた旅先で迷子にしつつも見つけた、という方からお電話を頂く機会がありました。その時にも

 

「辛いって思うかもしれないけど、世の中捨てたもんじゃないですよ。動いていれば手伝ってくれる人は絶対に現れるし、そういう人にはドンドン頼ったらいいと思う」

 

と言われました。日本人の美徳(?)として、人様には迷惑をかけてはいけない、みたいな感覚もあるし、わたくしはもともと甘えベタなところがあるので、こんな自分の不祥事に人を巻き込むのはなんだか申し訳ない気がしてましたが、それでも絶対にてんちゃんを見つけたいと思った時に、逆にいつまでもズルズルとだらしなく探している方が住民の人にとってはかえって迷惑だろうと思い、途中からは割り切って、ご好意には素直に甘えるようにしました。

 

もちろん、定期的に手を貸してくださる方には菓子折りを持ってご挨拶に伺いましたし、終わってからも同様に、本当にありがたかった旨をお伝えしにお礼に伺いました。

 

猫探しは、協力者探しと同義と言っても過言ではないと思います。

 

知らない人とコミュニケーションをとるのはとても難しいと思いますが、素直な気持ちを丁寧に伝えて、ちょっとでも手伝ってもらえたら心から感謝して、を地道に繰り返していれば、いつか必ず探している猫にたどり着けると思います。

 

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