<迷子猫探し/No.31>てんちゃんと対峙する(失踪から50日目以降)
逃げずに、じっと思いつめた目で話を聞いてくれるようになったてんちゃん。無事でいるのを確認してから3週間。辛抱強く話しかけた結果でした。いま見ても、涙が出そうになります...。
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「一人でどれだけ怖い思いをしたか、分かってほしいと切実に訴えるてんちゃんに、アニマルコミュニケーターのIさんは、
「私はあなたになることはできないから、完全に理解することはむずかしいかもしれないけれど、想像しただけで胸が張り裂けそうになるよ」
と伝えてくれたそうです。
それを聞いて
「私も伝えてみます。もう一度、一からやり直そうって話してみます」
と言ったところ、
「一からやり直すんじゃなくて、ゼロからまったく新しく始める、って感じでしょうか。
とにかく、てんちゃんに試されていると思ってください」
と、またしても軽くたしなめられてしまいました。
でも、Iさんのおっしゃる通りでした。
自分は捨てられてしまったと思い、ゴハンにもなびかず、地元の人にもなびかず、何を拠り所にして生きていったらいいのかわからなかったてんちゃんにとって、突然また目の前に現れた私たちは、本当に信用に足る相手なのかどうか、相当戸惑ったことと思います。
それでもだんだんと私達との距離を詰め、必死にこちらの思いをくみとろうとするそぶりを見せ始めたてんちゃんの姿を見ると、まだ心のどこかで私達のことを信じてみたいと思ってくれているようにも感じられました。
そうなると、こちらも必死です。
てんちゃんはどう思っているかわからないけど、私達はてんちゃんがいてくれると毎日が楽しくなる。自分勝手に聞こえるかもしれないけど、戻ってきてくれないか。
何度も何度も繰り返しました。
すると、さらに距離が詰まりはじめ、ついに手を伸ばせば触れそうな距離までてんちゃんに近づくことができるようになったのです。
ゴハンを置いても、捕獲器を置いても、何をしてもダメだったてんちゃんが、目の前にいる!!
ついにやっと、あと一息のところまでたどり着いたのでした。
(続く)
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